"Life and Debt〜ジャマイカ楽園の真実〜"っていうジャマイカのドキュメンンタリー映画がある。
カリブの楽園、避寒の地として多くのアメリカ人観光客でにぎわうこの島のホテルで出されている食事の原料は、じつはアメリカから持ち込まれているものであり、それもアメリカ人がもはや食べようとしない古い食料品が輸入されているという事実にフォーカスした映画。
グローバリズム経済の結果、大国はますます栄え、小国の経済はガタガタにやられてしまった典型的な例。
IMFや世界銀行が返済が難しいと知りながらもジャマイカ政府に融資し、多くの債務を抱えさせたのちに、自分たちの都合のいいように多国籍企業を持って来る様は、まさに「ナニワ金融道」。頭よくて相手をカタにはめる絵をかけるヤツと、生活が苦しくてその日の金にも貧窮しているヤツの勝負。勝てるわけがない。
国家予算のやり繰りに困っている国に金を貸す
↓
予定通り、返済期日までに返せない
↓
政府に借金返済のため、自分たちの利益になるプログラムを押し付ける
↓
やむをえず、教育費、医療費などの社会保障費を削減し、要求通り、外資企業への門戸を解放
↓
社会は荒廃、国内産業も外資に太刀打ちできずに廃れる
結果、現在では、年予算の1/3以上が対外国への借金返済に宛てられている。経済戦争のすごさ、恐ろしさ。
1週間前くらいの新聞でも、ジャマイカの主要産業であったバナナビジネスはもはや斜陽で輸出による利益はもう望めないらしい。
この作品を撮ったステファニー・ブラックはニューヨーク大学でジャーナリズムを教えている白人の女性。
なんとなく分かっているけど、アメリカ人があんまり知りたくないテーマで深く経済問題をえぐったこの作品を完成させた彼女はすげえと思う。
ダミアン・マーリーもインパイアされて、2005年の大ヒット作品 "Welcome To Jamrock"を作ったのは有名な話。
この作品、他のラテンアメリカ諸国で公開された時に、「ウチの国でも同じ事が起きている」と観客たちから、ものすごい共鳴があったらしい。
近年発売された「エコノミック・ヒットマン」という本でも、アメリカ政府のエージェントであった著者が、中南米の支配層を取り込み、アメリカの国益にかなうように途上国を搾取するシステムの片棒をかついでいた事を告白。
資本主義経済だから、勝ち負けが生まれるのはやむを得ないんだけど、なんでブログに書いたかっていうと、最近のリーマン・ブラザーズの破産とサブプライム問題でいろいろ考えちゃったから。自由経済ってパイを取り合っている間は軍事戦争して、パイの取り合いがなくなったら、経済戦争仕掛けて、最後は不動産バブルを勝手に作り上げて、崩壊しちゃったわけで。
アメリカだいじょうぶかな? そして、その悪影響を受けるのは、アメリカドルの支配下にあるジャマイカドルで生活しているオレらなわけで。
舵取りがオバマになれば少しは変わるのか?